「アウトドア用品をすっきりと片付けたい」「外出時のアイテムを使いやすく収納したい」
そういった悩みを家づくりによって解決すべく、シューズクロークを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インテリアライターの私は、4年前に自然素材の注文住宅を新築し、玄関にシューズクロークを設けました。設置目的は、外で使うアイテムの収納場所を増やして玄関をすっきりさせることです。
シューズクロークは収納力をアップして暮らしを便利にすることから昨今人気を集めていますが、「実際のところ使い心地はどうなのかな」と設置に不安を感じることもありますよね。私も建築前は悩みましたし、実際にインターネット上にはシューズクロークに関するさまざまな情報や意見があります。
今回は実際にシューズクロークを設置した施主として本音の感想を紹介しますので、家づくりやリフォームで設置を検討されている方は参考にしてくださいね。
〜この記事を書いたのはこんな人〜
mashley
椅子をこよなく愛するインテリアライター。椅子のためにこだわりの家を建てて4年経過。
現在は30脚の椅子を所有し、仕事でインテリアのコラムを書いたりブログで家具・収納・植物・暮らしの情報を発信したりしている。
シューズクロークとは?特徴や種類をチェック
シューズクローク(シューズクローゼット)とは、土足で入れる玄関近くの収納スペースのことです。靴箱やシューズボックスとの違いは、バッグやベビーカーなど靴以外のものも収納できることや、人が中に入れるサイズであることが挙げられます。また、靴を履いたまま中に入って物を出し入れできるのも特徴です。
いろいろあるシューズクロークの種類
シューズクロークは主に4種類に分けられます。私も家づくりで間取りを考える時に、どの種類がいいのかを検討しました。
ウォークイン&ウォークスルー
動線に着目してシューズクロークを分類すると、出入り口が1つのウォークインと出入り口が2箇所のウォークスルーの2タイプです。ウォークインタイプは出入り口が1つのため、その分壁面収納の容量を増やせます。一方ウォークスルーの場合は2箇所に入り口があるため、玄関を通り抜けてそのままリビングに入れるなどスムーズな動線ができることがメリットです。
またある程度収納容量は必要でしたが、二人暮らしで大人数の家庭よりも物が少なかったのも理由です。
扉アリ&扉なし
シューズクロークは扉の有無でも分類できます。扉付きタイプは収納の中身を隠したい場合や靴のニオイが玄関に漏れるのを避けたい場合におすすめです。扉は引き戸や開き戸などさまざまな種類があります。一方扉なしタイプは、施工費用を抑えたい方や見せる収納を楽しみたい方におすすめです。また、玄関が狭くて扉をつけると開閉が難しい場合や、扉があることで暗くなる場合は扉なしを検討しましょう。
扉なしでカーテンをつける方法も考えたのですが、玄関インテリアの統一感やニオイの遮断を考えて扉アリにしました。
使ってわかったシューズクロークのメリット
まずは実際に使ってみて気づいたシューズクロークの便利なところを紹介します。
収納力たっぷりでDIY用品&キャンプ用品がすっきり
シューズクロークの大きな魅力は、なんと言っても容量が大きいことです。靴だけでなく、外出時に必要なコートやマフラー、使用頻度が低い物などを収納できます。
わが家はDIYやキャンプが好きなので、使い方のメインは工具やアウトドア用品の収納です。外での使用がメインのグッズは汚れがちですが、シューズクロークがあることで汚れを居室に持ち込まずに済みます。
他にも夫の趣味の楽器や、防災グッズ、カー用品などもここに収納しています。
〜シューズクロークはこんな使い方もおすすめ〜
・靴好きさんのコレクションコーナーにする
・ベビーカーを収納して帰宅後の片付けを楽にする
・子供のビニルプールや除雪道具など季節物を収納する
・趣味のロードバイクを壁に掛けて収納する
・掃除道具やダンボールを収納して居室の生活感を軽減する
玄関すっきり!靴の置きっぱなし防止
収納量が増えて見せたくない物をしまえるだけでなく、玄関での靴の脱ぎっぱなし防止にも役立ちます。
以前賃貸のアパートに住んでいた時は玄関に小さな靴箱があったのですが、毎日使う靴が置きっぱなしになっていることがよくありました。靴の数はそんなに多くないのですが、やはり置きっぱなしだと狭い玄関が一層狭く感じます。
しかし今の家に引っ越してからは、玄関はほぼ綺麗な状態です。帰宅時に必ずシューズクロークの中を通るというウォークスルータイプならではの仕組みのおかげで、自然と靴を棚に片付ける習慣がつきました。
便利な帰宅&外出動線で家事時短に
これはウォークスルータイプのシューズクロークのメリットなのですが、帰宅後や外出時の動線が便利になって片付けがスムーズになりました。
まず帰宅後に玄関扉を開けたら手前のドアからシューズクロークに入り、靴を脱いで靴棚に収納します。
靴棚の下には鍵入れや郵便物入れがあるので、居室に持ち込まないものをここに置いていきます。
そしてもう1つの扉を開けて再び玄関に入り、壁面収納に帽子やバッグを収納したら、そのままリビングへ入ります。外出時はこの流れの逆です。
このような帰宅&外出時の動線ができたことで普段の片付けがかなり楽になりました。というのも、玄関での靴の脱ぎっぱなしやダイニングテーブルへの鍵・バッグの置きっぱなしが減り、それらを片付ける手間がなくなったからです。動線の中に自然と片付ける仕組みがあると、家事時短につながります。
使ってわかったシューズクロークのデメリット
便利なシューズクロークですが、使ってみると気づくデメリットもあります。
玄関が微妙に狭い&暗い
「シューズクロークをつけると玄関が狭くなる」とよく言われます。わが家は間取りを工夫することでそこまで狭さを感じない作りにはなったのですが、広いとも言えません。二人暮らしなので普段は問題ないのですが、遠方の家族や友人が来た時など来客時に「微妙に狭いなあ」と感じます。
それから季節によっては暗く感じるのがデメリットです。もちろんこれはわが家の場合であり、間取りや建物の立地条件、シューズクロークの種類によって暗くならない場合もあります。わが家はシューズクロークの中にのみ窓があるため、扉を閉めると秋冬は暗く感じます。窓付きの玄関扉から光が入ってくるのですが、窓が小さくて光量が少ないためやはり明るいとは言えません。
ニオイがこもりやすい
これもよく言われることですが、やはり靴が発生源となってニオイがこもりやすくなります。特に扉付きのシューズクロークはニオイや湿気が留まりやすいので注意が必要です。扉や窓を開けるなど定期的に換気をおこない、場合によっては消臭剤を置くなどの対策が必要となります。
うっかりすると物を増やしすぎる&詰め込む
収納力の高さがシューズクロークのメリットですが、気をつけないとそれがデメリットになって物をどんどん増やすことにもつながります。
わが家の場合、椅子以外の物量はそんなに物が多くないのですが、一時期キャンプ用品にハマって短期間でいきなり増えたことがありました。キャンプ道具は集める楽しさもあり、「シューズクロークに収納すれば大丈夫」と安心して気軽に買ってしまいます。幸い、これ以上増やしてもキャンプに持っていかないと気づいてストップしました。危なかったです。
また、扉をつけると余計な物が視界に入らず玄関やリビングなどはすっきりしますが、収納を工夫しないとシューズクロークが物を詰め込む場所になってしまいます。物を詰め込んだ状態を放置すると通気性が悪くなり、カビや悪臭の原因にも。私は見えないところに物を詰め込むクセがあるので、「ケースや棚に入らない物は収納しない」と心に決め、煩雑な空間にならないよう気をつけています。
シューズクロークを設置するポイント・注意点
実際にシューズクロークのある暮らしを経験してみて、これから設置する方に知ってほしいポイントや注意点を紹介します。
①設置の目的を明確にする
まず「便利そう」「人気だからつけておきたい」などなんとなくのイメージで設置するのはおすすめしません。というのも、シューズクロークは「たくさん収納できて人も入れるほどの広さ」が必要で、安易に設置すると玄関が狭くて使いにくくなるからです。人が入るのにおよそ1畳以上、収納するのにおよそ1畳以上必要で、シューズクロークを設置したせいで肝心の玄関が使いにくくなっては意味がありません。
「小さな子供がいるから玄関にベビーカーや外遊びのおもちゃを収納したい」
「すぐにキャンプに行けるように便利なアウドドア収納が欲しい」
など明確な目的を決めてから選ぶことをおすすめします。
間取りによってはシューズクロークではなく、扉付きの玄関収納の方が効率的です。
②動線をイメージして設置する
ウォークインorウォークスルー、扉の有無などシューズクロークの種類を選択するためには、実際に暮らしてからの動線をイメージすることが大切です。
例えば「わが家は玄関→シューズクローク→室内に入ってすぐ洗面所」という流れですが、最近は洗面所を玄関に設置するレイアウトが人気です。その場合、広いシューズクロークを設置する余裕がなくなったり、設置できても洗面所の場所を工夫したりする必要があります。シューズクロークの設置の失敗を防ぐためには、どんな設備が必要で、家に帰ったらどんなふうに居室に入っていくかを具体的にシミュレーションしてみてください。
口コミやレビューを参考にすることも大事ですが、どんな暮らしをしたいのかを最終的に決めるのは自分自身です。
(もちろん私の話も意見の1つにすぎません)
③棚は物量や使い勝手に合わせてレイアウト
シューズクローク内の棚の配置や数は、どんな物をどれくらい収納したいのかで変わります。設置してから決めるのではなく、予め具体的に考えておくのがおすすめです。
例えば玄関にロードバイクなどを掛けて収納したい場合は、棚を少なくする必要があります。逆にスニーカー好きな人はたくさんの靴を収納するために、できるだけ多くの棚が必要ですよね。
収納の容量はライフスタイルによって違います。ミニマリストさんなど物が少ない暮らしの人にはシューズクロークが不要な場合もあり、逆に何かをコレクションする人によっては居室以外に収納できるシューズクロークのような場所が役立つことも。
設置前に収納したい物を書き出してみてください。
④窓・扉・壁を工夫してニオイ&湿気対策
除湿剤を置くなど湿気やニオイがこもらない対策は住んでからでも可能ですが、建築段階で窓・扉・壁の工夫しておくと住み始めてから楽になります。
例えばわが家はニオイ・湿気対策として壁や天井を調湿性・消臭性に優れた珪藻土にしています。完全にニオイをとってくれるわけではないですが、緩和するのに便利です。実際に同じようなシューズロークを設置した知人からは「うちより臭わないね」と言われたことも。
また、シューズクローク内に窓を設置し、扉が2箇所のウォークスルータイプにすることで風の通りをよくしています。ウォークインタイプよりも収納量は少なくなりますが、わが家の収納量はそこそこでも良かったのでこの選択に満足です。
シューズクロークはこんな人におすすめ
〜シューズクロークがおすすめな人〜
・外で使うたくさんのアイテムを収納したい
・「人が入れること」にメリットを感じている
(靴のままで物を出し入れするなど)
・帰宅時の片付け&外出時の身支度を楽にしたい
〜こんな場合はよく考えて選択を〜
・ただ単に収納量を増やしたい
→玄関収納である必要はないかも。
・日用品や掃除道具などを玄関に収納して居室をすっきりさせたい
→人が入れない収納棚でも対応可能。安易な設置は場所を取るので、人が入れることのメリットがいかせるか考える。
満足?後悔?わが家のシューズクロークの感想
シューズクロークは収納量が増えて玄関がすっきりする反面、間取りを工夫しなければ玄関を狭く暗くし、うっかりすると物を溜め込む倉庫になります。便利なイメージとは裏腹に、よく考えて設置しなればデメリットが大きくなるのがシューズクロークです。
わが家はどうなのかと言えば、シューズクロークの設置に満足しています。後悔が少なかったのはシューズクロークを設置する前にリサーチを重ね、設置目的や使い方を明確にして家事を楽にする間取りを考えたからかもしれません。
もちろんあわよくばと思うこともあり、100%完璧だとは言えません。例えばコンセントをこの位置につけていたらなあとか、土足で歩くスペースをもう少し増やしてもよかったかもと思うことも。
ただライフスタイルは変わっていくものですし、初めてなのにほぼ1発勝負を強いられる家づくりで完璧な家を期待するほうが難しいででしょう。もちろん流行や人気といったイメージだけで決めるのはおすすめしませんが、後悔をゼロにしようと必死になりすぎるといつまで経っても家は完成しません。ゼロではなく「後悔を少なくしよう」というスタンスでリサーチし、「自分たちの暮らしに必要なもの」を考えていくのがよいのではないでしょうか。
シューズクロークは家の中の一部分に過ぎませんが、家の顔である玄関に隣接し、設置の有無でライフスタイルに大きな影響を与えます。これから家づくりするみなさんが、自分に合った選択で心地よい暮らしを手に入れられるように願っています。その際に私の体験やアイデアが役立つと幸いでです。
著者 | mashley |
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HP | 北欧ミッドセンチュリーの家づくり |
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